生ける屍の死

 

山口雅也

 

生ける屍の死はキリスト教の死生観が大きなテーマになっているので、クリスチャンには興味深い作品です。

 

 

 

ミステリの設定には色々な設定があるのですが、超常現象や、非現実的なSF的な世界観を導入していいのか。これは議論が分かれるところでしょう。それってホラーではないかとかSFではないかとか、ファンタジーではないかという意見も出るでしょう。

 

 

 

でも、そういう型破りな設定でも一定のルールさえあれば、ロジックは成立するのでミステリは書けるのかもしれません。今でこそこういう型破り設定は西澤保彦などが導入していますが、80年代に書かれたこの作品当時はまだまだ異色でした。

 

 

 

この作品の世界観は強烈でパラレルワールドっぽいアメリカが舞台。アメリカなのでキリスト教文化が根付いいている。ところが、この世界では死者が生き返ることが大前提となっているのです。

 

 

 

ところが、そこで殺人事件が起きます。でも、よく考えて下さい。生き返るわけですから、厳密に言うと殺人事件にはならない。ということは強烈な疑問が。どうして犯人は生き返ることがわかっているのに、わざわざ殺す必要があったのか。この動機を巡ってストーリーは展開します。

 

 

 

ここで鍵になるのがキリスト教死生観。終末論や人間論が大きなテーマになっていきますよ。おっとこれ以上は書けません。ネタバラシになってしまいます。