聖女の救済

 

 東野圭吾作 

 

今をときめく人気作家の東野圭吾。キリスト教が絡む作品がないかと脳内を検索したのですが、ないのですね。強いて言うとチャペル式ウェディングの場面や、ミッションスクールが少し出てくる例はあるのですが、ちょっと弱い。

 

 諦めきれずに、あ、と思い当たったのはこの作品。題名がキリスト教の影響が感じられる。聖女にしても救済にしてもどちらも宗教的なタームではないでしょうかね。ガリレオこと湯川薫が友人の刑事と協力して難事件を解決していくガリレオシリーズの一編。

 

 ちなみに本物のガリレオ・ガリレイはキリスト教を否定したわけではありません。ガリレオ裁判を科学と宗教の対立だけでとらえるのは少々見方が薄い。現にガリレオの娘のひとりは修道院に入っています。聖女と言えなくもないでしょうか。しかもそれはガリレオ自身の勧めによったものらしい。

 

 だったら、ガリレオシリーズが聖女が絡む事件にぶつかるのも必然だったような気がしないでもありません。はい、強引です。分かっていますw

 

 子どもの欲しい夫と、子どもが出来ない妻が出てきます。この二人を軸にストーリーは展開していきます。とんでもなく用意周到なトリックが出てきて、完全犯罪が企てられます。何を書いてもネタバラシになってしまいそうなので、これ以上は書けません。前代未聞のトリックで、読んだときはあ然としましたね。この真相は見破れないです。

 

 それにしても、エンタメ小説の世界で、宗教用語が消費される。けしからんという向きもあるでしょうが、これが現代の現実なのかもしれません。だったら、これを逆手にとってキリスト教で言う聖女とは、神学で言う救済とは、ガリレオシリーズを教科書に料理するのも一興かと。